5月4日緊急事態宣言延長の首相記者会見について感じたこと/宣言延長に関わる根拠の数値は?

5月4日18時からyoutubeでも安倍晋三首相を新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、専門家会議とします)の尾身副代表の記者会見があったので視聴しました。

スマートニュース

内容で疑問に思ったのは緊急事態宣言(以下、宣言とします)延長に関する陽性者数や実行再生産数等の数値的目安がなく、具体的な中小企業者・個人向けの追加経済支援の話について明確な金額や割合についても述べられることがなかったように見えました。

「新しい生活様式」と表現される行動についても触れていましたが、手洗いや社会的距離を開ける宣言が発表された時点での要請と1ミリも変わっていませんでした。

予想はできていましたが、なぜこんな中身のない会見になったかというと、官僚が4月末時点で「政府高官」の言葉としてマスコミを通して上げた宣言延長の方針の観測気球が前提にあるからと考えます。

観測気球の話は下記のブログを見てやってください。

宣言解除の数値目安を決めれば、これまでの陽性者数の変化や期間を考慮して経済補償・収入補償額も決める話になりますが、世論の流れが宣言に批判的な方向へ動いた場合、金額等の修正に多大な労力が伴います。

明確な数値を決めないままで「状況に応じて柔軟に対応」と表現することは行政の文書でよく見られます。「速やかに」という文言はほとんど入りません。

平時であれば修正の時間もたくさんあるので問題ありませんが、こと宣言発表以降1ヶ月で個人商店、中小企業は軒並み収入がなくなり心理的に命の危険を感じるような逼迫した状況であり、まず一発目は明確な数値を掲げ、その後も速やかに柔軟な対応をすると示すことが心的負担を下げるためにも重要です。

そしてもう一つの要因とも言えますが、内閣が専門家会議の意見を最重要としているところです。

広告:OODA 危機管理と効率・達成を叶えるマネジメント

気になって専門家会議の構成委員を確認しましたが、ほぼどこかの大学の教授だったり研究員だったりします。弁護士の方は個人事業を営んでいるようではありません。つまりほとんどが経済はおろか医療の現場の方ではありません

書きながら思い出したのは、昔中学校の授業の一貫で家の電気料金を調べてくると言うのがあり、同級生の商店の子供が持ってきた料金明細を見た教師が「え?なに、この金額!?なんで電気代に何十万円もかかるの?!」と驚いていた印象が頭に浮かびました。

教師は教師、商店の経営者である人はほとんどいません。誤解しないように補足すると、教師に経営手法は求められていません。

同様に専門家会議について、経済の話はできないにも関わらずその意見を最重要とする根拠が見当たりません。医療サイドの意見・情報だけを最重要とする戦略は自衛隊的にあり得ません。

話はずれますが、自己完結の存在である自衛隊は戦闘に関わる部隊だけでなく、医療専門部隊も予算や物資の補給を専門にしている部隊も保有しています。医療部隊の意見はあくまで一つの意見であり、もっと広い範囲から意見やデータを元に、速やかに実施できる施策を打つでしょう。

それとは別に、長期的戦略を練るチームを別に立ち上げます。
自衛隊は領海・領空侵犯があれば速やかに対応しなければなりません。しかし同時に訓練を計画的に実施し練度を高めることもやっています。

指揮官や幕僚と呼ばれる部隊運用に関わる幹部はこういったことを日々こなしています。

しかし決定するのは指揮官です。失敗して責任を負うのも指揮官です。多くの隊員の命を預かる指揮官には覚悟が必要です。

スマートニュース

そもそもの話に変わりますが、新型コロナウイルスが日本国内で蔓延する可能性が高まった1月24日の段階で大規模災害の位置付けで政府が動かなかったのが失敗だとも考えます。

そして未知のウイルスに対してなら生物兵器による攻撃も視野入れ防衛省・自衛隊が初期から厚生労働省と同等に対策チームに入れたほうが良く、また経産省、財務省で陽性者の増減を踏まえた上で速やかに経済補償策を練っていればと。結果論ではあるけど。

個人で何かできるととしたらSNS等で宣言緩和をつぶやくことが地味ですが宣言緩和への対応が速やかに行われる一番の方法だと考えます。

今後、政府や専門家会議が明確な数値を迅速に明示することに期待します。

以上です。