ゲリラ豪雨/メディアによる不安を煽る言葉

使われるようになったのは私が海上自衛隊に入隊し気象観測業務に従事するようになってしばらくしてからぐらいだったと記憶しています

WiKiを調べると2006年あたりからテレビ等で使われるようになったそうです。

目次

「ゲリラ豪雨」は正式な気象用語ではない

「ゲリラ豪雨」は気象庁が正式名称に採用してません。あくまで一部メディアが用いている造語となります。

また「ゲリラ豪雨」の解説をいくつか見ると

ゲリラのように見えないところから急に襲ってくるからというのが理由の様です。

空を見ていないだけ

「ゲリラ豪雨」を取り上げるメディア関係者は、なぜその言葉を用いたのかと考えると

窓から外を見ていない、気温の変化に気づかない、風を感じていない

屋内での仕事をする人からすれば雨が降る事で仕事が中断するわけではないので、天気の変化はさほど重要ではないでしょう。

そもそも天気を気にする必要はないことが伝わってきます。

気象の現場から見ると「気象の仕事をしていない」人の言葉

気象観測の現場では雨雲レーダーほか気圧、風向風速など測器を用いたものだけでなく、実際に自分の目で空を見て雲の形なども見て観測データとして気象専門のネットワークにデータをアップします。

従って、少なくとも10分おきぐらいには屋外に出て空を見渡す様にします。目視観測を行うと数値に現れない微かな変化に気づくことが少なくありません。

「ゲリラ豪雨」はセンスがない

日本には、急な激しい雨を表す言葉がいくつかあります。

例を挙げると

夕立(ゆうだち)

通り雨(とおりあめ)

村雨(むらさめ)

俄雨(にわかあめ)

他多数

気象専門用語で変化の大きな雨を「しゅう雨」(驟雨)と呼びます。世界向けには「Shawer Rain」(シャワーレイン)と扱っています。

このように日本語であれば漢字2〜3文字で済むものを6文字で表すのは字数の無駄です。

「ゲリラ豪雨」を用いるのは注目されたいから

インパクトがあると言えばそうかもしれません。なのでTwitterで「ゲリラ豪雨」を用いるアカウントは承認欲求が強い方と個人的には見ています。

急な雨は事前にわかるの?

ここまで言葉遊びの話でしたが、では実際のところ現場では急に降り出す雨の予兆はどのように見ていたのかを仕組みを元に解説したいと思います。

冷たい風が吹く

詳しい気象物理の話は省きますが、現象として風が止んだと思ったら急にひんやりとした冷たい強めの風が吹き始めます。アメダス観測データを見るとよく分かります。気温が大きく下がり風が強く吹きます。

参考データとして気象庁2023年5月11日アメダス観測・東京の表をスクショしたものを用います。

紫の四角で囲んだところに気温、降水量、風向風速の要素。また緑の四角で囲んだところは気圧要素となります。

空が暗くなる

これは分かりやすく空全体をどんよりとした雲が覆います。目安としては15〜20分程度で覆われてしまいます。

気圧の急上昇

天気が良い状態から急に雨が降る直前なので気圧が下がると思いがちですが、実際は気圧が急上昇します。シビアウェザーとなる時の目安としては15〜20分で1hPa程度の変化傾向の上昇です。実際には1hPaの上昇がない時もあります。

当然体感はできないのですが、最近はスマートウオッチやスマホの気圧センサー等がついていて知りやすくなりました。

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ラジオにノイズ

インターネットの普及で、今やオワコンかとも考えられるラジオ放送ですが、雷発生時の電波障害の影響が強く出ることで、落雷がなくとも、よく分かります。

上空5000mと地表付近の温度差

にわか雨の場合だけとは限りませんが、上空に寒気があり地表付近との温度差が40℃を超える辺りから大気の不安定度が大きくなり空気の上昇下降流が活発化して雨雲の発達に繋がります。

まとめ

翌日や朝の天気予報を見ることが大事ですが

上空の寒気

ひんやりした強い風

急に暗くなる空

屋内で仕事をする人は気圧センサーの数値を確認できるものを手元に

これらで少なくともにわか雨の訪れにいち早く気づけるかなと考えます。

怖いのは強い雨だけじゃない

「ゲリラ豪雨」という表現が良くない理由の一つとして、実際は雷、積乱雲の発達程度では突風、ひょうなども発生する可能性があります。

落雷であれば停電の可能性があるほか、精密機器がダメージを受ける可能性があります。

ひょうは、大きくなればガラスにダメージを受けます。

突風なら重い看板や板状のものが飛び上がり人の怪我につながるほか、電線について停電につながる可能性もあります。

この様に複合的に災害になる要素も含まれるので雨だけにとらわれる「ゲリラ豪雨」という言葉は気象学的に見てもおすすめできないところがあります。このことから室内にいると影響無いと思わず、対策を考えておく事をお勧めします。

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補足

にわか雨のようなパターンでは連続して降り続くのは一時間もありません。なので降り始めたらどこかで雨宿りする等時間潰しをすれば大きな問題もないと考えます。

似た様な不安を煽るものに「地震雲」がありますが、解説した記事を貼っておきます。興味を持たれたら見てやってください。

以上です。