【終身雇用崩壊】複数大手企業で45歳以上社員をリストラ本格化の記事について思うこと

最近のニュースで目に飛び込んできたNEC、富士通、コカコーラや大手企業の45歳以上社員に早期退職などを促すリストラが大々的に始まっていることについて。自衛隊勤務時代のことも絡めて書いていこうと思います。

言いたいことは、

若い社員の人数が少ないのに対し、年輩の上司が多くかつ給与に対し能力が不十分なことで、若い社員に負担が集中している

この状態が生まれた背景を箇条書きすると

  • 1974年生まれから顕著に出生人口減少
  • 1992年バブル崩壊後から不景気
  • 1998年ごろの就職氷河期から始まる採用人員の大幅な抑制
  • 2000年代にはコンピューターによる労働の効率性が向上
  • インターネットの普及とネット検索の質の向上
  • 2019年現在では45歳以上で年功序列でそれなりの役職を持つ地位についているが役職に見合った能力があるとは言い難い

これらのことは大企業だけでなく、自衛隊の現場でも顕著に現れました。

実はバブル崩壊直後は大手企業、公務員の採用が減ることがほとんどありませんでした。

そのしわ寄せのように採用が大幅に抑制されたのが1998年から数年続いた就職氷河期で当時の大卒年齢に当たる1974年〜1978年の現在45歳以下の人たちとなります。

私も就職氷河期の世代になりますが、幸いにも高卒で海上自衛隊に入隊できたので就活の大変さは自分では体験していません。

しかし1998年頃から高卒で入隊できる種目の新隊員の大卒者の割合がとても多いという印象でした。

それから2002年ぐらいまで職場(階級関係なく30人程度)に配属された私より階級が下の隊員は10人以上いましたが、私より若い隊員は2人だけでした。

よその部署でも似たような状況でした。正直、後輩だけど同い年、年上って慣れないうちは地味にストレスでした。

併せて自衛隊でも採用を抑えていた時代だったので、階級序列下位の隊員一人がやらなければならない仕事が以前より多くなっているのが実感としてありました。

そして1998年を境に仕事の進み方が劇的にスピードアップしました。それはwindows98を搭載したPCの登場です。

それ以前にもwindowsNTというネットワークコンピュータ端末が限られたシステムの稼働には使われていましたが、windows98が搭載されたPCではWord、Exelなど今では当たり前のソフトが初めて使いやすい形で登場しました。

私は先輩から売ってもらったノートPCでwindowsを憶え仕事に活用しました。

ちなみに当時は、まだ私物PCを職場に持ち込むことは禁止されていませんでした。

職場にも私物PCを持ち込む若い隊員はwindowsのword、exelの扱いにすぐに慣れていきましたが、私より少し上の世代までは全くと言っていいほどPCに興味を示さず自腹を切って買うには高価(当時のノートPCは安くても20万円程度)だということもあり、今は懐かし「文豪」や「Rupo」などワープロ専用機で作成していました。しかも人差し指しか使わずぽちぽちとゆっくり入力する姿が多く見られたのも鮮明に憶えています。

それは私より上の世代、つまり2019年現在45歳以上の世代です。

自衛隊だけで見るならデスクワークより人が実際に動かなければならない場面が多いので、最低限の文書や資料作成ができれば十分です。

しかし世間一般ではITによりデスクワークはPCが導入されるようになってから仕事の処理速度が大幅に早まりました。あわせて体力仕事も作業の一部機械化・ロボット化が進みました。

私が知っているワープロ時代の文書作成というのは

  • 文字を入力する時の漢字への変換が遅い
  • A4一枚の書類の白黒プリントアウトが30秒以上かかる
  • 会議等で同じ文書を大量に印刷する際は、コピー専用機を使うしかない
  • A4一枚程度の保存を記憶媒体(フロッピーディスク)に行うには5秒近くかかる

など端的に流れを書きましたが、A4一枚の書類作成には入力作業以外にもある程度時間が必要なため早くても15分程度が必要でした。

大量に印刷するのもコピー機自体の印刷能力が遅いので誰か別の人に頼まないと仕事が進みません。新人・部下に原紙を渡しコピーをさせる時代でした。

今ならPCと複合コピー機をネットワーク回線で結んであるので、一人で大量印刷するまで時間はワープロ時代の1/10かそれより早いのは確かです。

当時は結果的にwindowsを扱える人間に仕事が集中するようになりました。

同時にITの普及発達に伴いインターネットによる検索の質が高まり、より的確で有用な情報を若い社員でも手に入れられるようになったので、年功序列だけで昇進したような年輩者の曖昧な記憶、時代にそぐわない慣習に頼る必要性も無くなりました。

そして効率が高まった結果が省力化による人員削減です。

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はっきり言って上司が無能と感じる話は、大企業だけでなく地方公務員の若い人たちからも似たような話を聞きます。

つらつら書きましたが、45歳以上で定年まで給与を出す価値のある人の割合が少ないから早期退職を促す流れになるのは仕方のないことでしょう。

余談

引用:厚生労働省HP

リストラ=即解雇と思いがちですが、上記に厚生労働省HP(2019年5月現在)にある「労働契約の終了に関するルール」(厚労省HPにリンクしています)の3から5のスクショを見てもらうと

労働基準法では雇い側の企業は解雇の前に本人の活躍できる環境を用意をするようになっています。

また企業側の都合で大規模リストラするならその対象となる人に対し再就職先を紹介する等支援の努力が求められる場合があります。

従ってリストラが行われると言って即仕事を失って路頭に迷うということにはなりません。場合によっては企業に在籍中にスキルアップの勉強をして退職の道もあるということです。

個人的に思ったのは終身雇用がなくなるということは、反対に「実力あれば何歳までも働けるんじゃね?」というところです。

以上です。