2021年6月17日から気象庁は、「顕著な大雨に関する情報」等の提供を開始すると発表していますが、その情報の中で
「雨雲の動き」において線状降水帯の雨域を囲む楕円表示について、同日13 時より開始いたします。
とされています。
線状降水帯って何?
線状降水帯に特に注目されるようになったのは、昨年2021年(令和2年)7月4日、九州の熊本県球磨川の洪水発生の原因のほか、何度も洪水や土砂災害の要因にもなっているからです。しかし名称は近年出てきましたが、かなり前から知られている降水現象なので地球温暖化による環境の変化が関連しているかは、特に関係ないとは思います。
気象庁の資料をお借りしますが
気象庁発表の「災害をもたらした気象事例 令和2年8月11日」における11ページの危険度分布の図を見ると特徴が顕著に見られます。
左上の「3時間降水量(解析雨量)」で熊本県南部に線と言うよりかは筆で左から右にシュッと引いたかのように強い雨域が見られます。
オレンジ色で示されたところだけで注目すると縦は大体幅50kmぐらいかなと思いますが、横の長さが概ね400km程度となり、日本列島が入るくらいの地図で見ると確かに線状に見えます。
これが線状降水帯と呼ばれる理由です。
何が危ないの?
熊本県球磨川の洪水も代表的な災害と言えますが、洪水や土砂災害のリスクが非常に大きい、とあります。
加えて怖いのが、短時間でリスクが高まる点に注意する必要があります。
理由は、同じ地域に継続して強い雨が降り続けることにあります。
参考までに、夏の積乱雲の雷雨の雨が強い時間は30分程度です。
予報できないの?
現在の気象庁の持つ予報コンピューターでは局所的で強い雨の予報は難しいという見解のようです。
ちなみにその予報演算に用いられるコンピューターの性能は世界の気象予報コンピューターの中でもトップクラスです。
古いブログ記事になりますが気象庁のスーパーコンピューターの性能について触れたブログのリンクを貼っておきます。
その天気予報は信頼できるの?/各国の台風進路予想の精度について調べて比較してみた結果は…
事前の予報は難しいですが、いざ現象が起き始めてからは捉えやすい現象でもあるため、線状降水帯と判断し発生の情報を発表すれば避難などの防災・減災になるとの目安となると言えます。
元気象専門職の観点から
線状降水帯は結構古くから知られていて、近年目立ってきたわけではありません。
予報できないとは言われますが、梅雨前線や台風の接近がある時、雲画像やアメダスの風向風速等のデータを観察していればその予兆が見えてきますし、解析された地上天気図を見ると一目瞭然です。
現に前述した昨年の熊本県の線状降水帯についても天気図を見ると、梅雨前線が解析されています。
前述した資料の3ページの画像からも線状降水帯が発生するのに前線の位置が対応していることが分かるかと思います。
一般の方が天気図を見て雨がどう降るとか予測できないのは当然ですが、気象庁が他にも多くある警報、特別警戒情報、注意報とは別に発表をしなければいけないのかは不思議に感じます。
なんか大人の事情がある気がしないでもありません…
話は戻して、「顕著な大雨に関する情報」で線状降水帯の雨域について情報提供がありますよと言う話でした。
防災には日頃の備えが一番です。
実際どう言いたものを揃えたら良いのかおすすめするブログ記事を貼っておきます。ご参考に是非お読みください。
令和元年(2019年)台風15号(ファクサイ)の被害から改めて考えるサバイバルテクニック
気象予報士は難しそうだけど防災士はどうだろうと迷われている方の参考に防災士資格取得について書いた記事のリンクを以下に貼っておきますので、よかったら参考にしてみてください。
防災士になったよ/費用・受験手続き、難易度、メリット、デメリットを解説します
以上です。