仕事のやり方がPDCAサイクルからOODAループへ変わって行く/臨機応変に、より早く仕事を回す

(2020年9月8日修正)

パリのモンパルナス駅構内をテロを警戒して回っているフランス軍兵士さん。(本文とは関係ありません)

まずOODAを簡単に解説します。

目次

OODAループとは

  • O:監視(Observe)
  • O:情勢判断(Orient)
  • D:意思決定(Decide)
  • A:行動(Action)

OODAは、突発的な場面で困難な状況を打開し、成果を出すにことに優れています。

PDCAサイクルと比較

詳細なOODAループの話をする前に、『PDCAサイクル』と言う仕事の手法が巷に出始めて久しいと感じますが改めて調べると

  • P:計画(PLAN)
  • D:実行(Do)
  • C:評価(Check)
  • A:改善(Action)

上記の4つのアルファベットの頭文字を取ってつなげたものです。内容はそのままです。ネット上のブログなどにも多く取り上げられています。

PDCAが提唱され始めたのは第二次世界大戦後(日本では1950年代)で、もともとは第二次世界大戦中の米軍における物資の補給(兵站)に関する研究が元になっているようです。

メリット

既存の事業、または前例のある実績であれば社員が変わっても効率良く成果が挙げられるところです。

デメリット

計画(P)

そもそも計画を立てやすい環境というのは、実績のある前例が多い組織であり、事前に期間、予算、人員などの数字が具体的にすぐに見積もりに出せる前提にあります。

ところが現場は、刻々と状況が変化し前例が乏しい状況が現れることも少なくないでしょう。

さらに決裁権を持った人間が「俺の経験で言っているから正しいんだ」と現状にあわない計画をごり押しすると、現場では矛盾のある計画を実行(D)に移す場合が多々見られます。

実行(D)

現場の状況と計画(P)がかけ離れている場合が多く、上層部が介入すると、予想と違う自体に混乱し始め修正に時間を要するか、現場がストップします。

評価(C)

実行(D)のしわ寄せがきますが、直属の無能上司は上層部に突っ込まれないための評価、という名の言い訳に終始します。場合によっては部下に責任を押し付けます。

改善(A)

最初から、矛盾だらけで改善する意味がありません。

無理に改善しようとすると歪んだものしか出てきません。

結果として当たり障りの無い評価で何も改善されず、そのまま引き継がれていきます。

見た目は目標を達成できているサイクルなので、100点満点中70点は取れているのではないでしょうか。

でも同じような苦労の繰り返しでどんどん現場の人たちは疲れ切っている感じがします。

PDCAサイクルは、第二次世界大戦中の機械などの生産性効率の話なので単純作業が前提です。

OODAループの解説

最近はこれらの問題点に気づき始めた日本人が増えてきて、PDCAサイクルに変わる『OODAループ』を推奨するコンサルタントやいわゆるストラテジストが増えてきました。

OODAループは朝鮮戦争時代の米空軍のパイロットが提唱し始めたようです。

監視(O:Ovservation)

観測とも言えます。見るのは何も現場やその周辺だけでなく、新聞や現代ならブログやyoutube、TwitterのようなSNSを含むインターネット情報も考慮されます。なので私は情報収集とも捉えます。

情勢判断(O:Orient)

監視による情報の結果を、文化、歴史、地勢、コミュニティ、経験などを踏まえて合理的な行動は何かを判断します。情報解析という方がわかりやすいかもしれません。

意思決定(D:Decide)

やるぞ!と腹を決めることです。

行動(A:Action)

そのままです。

行動の結果で、新たな情報が得られ情勢が変化することもあります。監視(O)を怠ることなく的確な情勢判断(O)のために情報のアップデートと最適化をどんどん行ってきます。したがって行動監視はセットになることがほとんどです。正確には意思決定をする人間にとっては(D)も同時進行となります。

メリット

現場の状況に応じて臨機応変にタイムラグが少なく行動できること、現場の声が反映されやすくなります。

デメリット

成果について、コストパフォーマンスが高いものを得られる事は返って少ないでしょう。

臨機応変で次々と対応が変化してしまい非効率なことも多いからです。

ある程度データ蓄積、事例が揃ったらPDCAに譲るのがより効率化が図れます。

重要なのは意思決定に至るまでのスピード

決断は早ければ早いほど良い。

多少雑でも、その業界で一番になれたら市場を独占できます。

また決定が間違っていたとしても、早い段階で修正ができダメージが極小で済むからです。

これはITにおけるソフトウェアのアップデートによる最適化がよく目にするものではないでしょうか。

また、IT関連プロダクトについてもこの傾向が強く出てきていると思います。

例えば最新のApple製品は特にこの傾向が強く感じます。

事前の広報・アナウンスはしっかりとやって、消費者の期待を高めますがリリース直後は様々な不具合が出ています。

ところがこれらの不具合報告を受けソフトウェアアップデートで改修できるものは、速やかにどんどん改修していくことでプロダクト自体のブランド力を強いままで製品をリリースし続けます。ある意味製品の完成は消費者が作るようなものですね。

参考にM1チップiMacの記事をどうぞ

2021M1iMac24インチモデルどうなのよ/え、これはヤバくね…?


料理に例えると

ここまでの解説は、ビジネス参考書的な解説だったので分かりにくい人もいた方と思いますので、例えばとして料理を引き合いに出します。

PDCAなら

計画P=食べたい料理を思い浮かべ必要な食材を準備する。今回はビーフカレーを作る仮定とします。

必要な食材をメモなどしていくことになります。カレーのルー、牛肉、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもなどなど。

実行D=料理を作るとはなりますが、必要な食材を買ってくるなども実行の一部と捉えることもできます。

評価C=味が一番評価しやすいとは言えますが、細かく言えば調理にかかる時間なども評価に入れても良いでしょう。

改善A=味はもっと辛くした方がいい、逆に甘くした方が良い。調理時間が短縮できるやり方を使うなどなど。欲張るなら、どこで食材を買えば費用を抑えられるか、隠し味に何を使うか。

という風に例えられます。

OODAループなら

ところがOODAループだとそもそもの前提が違ってきます。

観察O=冷蔵庫にある食材を確認する。

PDCAはビーフカレーを作ると決めてしまっていますが、OODAループでは、手元にある食材から作る料理を決めていくことがスタートになります。冷凍室に牛肉、冷蔵庫にはにんじん、玉ねぎ、カレーのルーが見つかった、という仮定とします。

情勢判断O=みつけた食材から何種類かの料理が候補に上がりますが、ビーフカレーが食べたいとして判断します。もちろん、足りない食材があれば買う必要があるなども情勢判断の一部となります。

決定D=ビーフカレーを作ると決定します。当然足りない食材を買ってくるというのも決定の中に含まれます。

行動A=食材調達含め料理開始です。

OODAループの考え方では、行動Aのステップでも観察O、情勢判断Oが同時に行われ、例えば隠し味に使う食材の追加、急な電話での調理中断等で決定Dが追加され行動A修正が臨機応変に行われるでしょう。料理に慣れている人なら柔軟に対応するのは当たり前だと思うはずです。

そして極端な決定Dとしては、作るのが面倒だからカレーライスの食べられるお店に行こうというのも有効的な判断と言えます。

なぜOODAループについてブログを書こうと思ったかと言うと、新しい事業を立ち上げるには、という雑談の中で聞いたことが発端です。

計画をしっかり立てないといけないのではないのか?と話から、そもそも計画とは事業を起こす人のためではなく、設立のお金を借りる銀行や投資家に対して提示するものであって、自己資金がある人なら計画はざっくりしたもので良いと聞いた事でした。

PDCAは大きな組織では役に立つし、上層部に説明するのも『他ではこれで実績が得られています』と数字やグラフをつけていれば納得を得られやすいのは確かです。

でも時代のスピードに追いつかなくなっているのも事実です。

上層部が効率的と信じている手法が20年前の情勢を踏まえたもので、現代に通じないケースを何度も実際に経験しました。

『OODAループ』については、自分でも当たり前に実践していましたし、初めての海外旅行でも自然とやってました。


OODAループのことを調べていて、以前何かの雑誌で読んだ、アメリカの大企業がアフガニスタンから帰還した士官をヘッドハンティングして企業の業績が上向いた話が頭に浮かびました。

最前線で、情報も少なく、何が起きるか想像もつかない現場(戦場、自然災害)では、特に情報収集能力、判断、意思決定、行動が迅速に行われないと問題が山積みになるどころか命の危険にさらされます。

その経験を積んで帰還した意思決定を行う立場にあった軍人が優秀なのは想像できます。また退役軍人とは、日本と諸外国ではイメージが全く違います。諸外国では尊敬の対象でもあるのでイメージアップにもつながります。

OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル

PDCAはコンサルタントの方が使うイメージがありますが、やはりPDCAの問題点に気づいた人達がOODA的ビジネス手法を用い「ストラテジスト(戦術家)」の肩書をアピールして差別化を図っていると見られます。

以上です。

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