海上自衛隊に染み付いた「五省」の話を書いて行きたいと思います。
- 至誠に悖る(もとる)なかりしか
- 言行に恥づるなかりしか
- 気力に缺くる(かくる)なかりしか
- 努力に憾み(うらみ)なかりしか
- 不精に亘るなかりしか
旧海軍時代に考案されたものだそうです。
- 信念に反していなかったか
- 言行に不一致がなかったか
- 気力に欠いてなかったか
- 努力したか
- 最後まで十分に取り組んだか
分かりやすく表現するとこんな感じ。入隊して直ぐの教育期間中、ほぼ毎日自習終了時に必ず皆で斉唱するよう躾けられました。
最初はただ躾なので仕方なく何も考えず声に出して唱えるだけでした。五省を強く意識するようになったのは広報官として隊員募集に携わるようになってからです。
自衛官以外の方に、自衛隊の仕組みや職種をどう説明するか。一般企業と自衛隊との相違を分かりやすく説明するには。より自衛隊を知ってもらうことを常に考えるようになりました。
私は海上自衛官で、陸や空のことを聞かれても始めは答えることができませんでした。大きな枠組みで自衛隊といっても組織編成から個人の訓練内容まで全くといっていいぐらい違っていて、自分の知識の無さに焦りました。
適当なことを言っては自衛隊全体にたいして信用がなくなる
質問は陸海空問わず聞かれます。基本的な話で自衛隊は体力的にきつい、規律や時間制限が厳しいなど、どこからか聞いた情報について確認のように聞かれます。基礎知識をためて正しいこと間違っていることを伝えることに努めました。
そして自然と1日の終わりに反省をするようになりました。そしてある日ふと五省が頭に浮かんできました。あぁこれだなと。
それらがあったのか、陸海空問わずだいたいの説明ができるようになりましたし入隊試験を受ける本人だけでなく、そのお家の方にも分かりやすく特に社会人が気になる福利厚生や医療保険等の説明もできるようになりました。結果、部内の表彰につながったとも思います。
今ではサーフィンの時に五省がよく頭をよぎります。
以上です。