FACTFULNESS(ファクトフルネス)を読んで/台風10号で感じたこと、感想、簡単な書評

目次

「FACTFULNESS(ファクトフルネス)FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 」

(ハンス・ロスリング他著)の所感文(海上自衛隊的によく書く感想文なやつ)を書きます。

まずはFACTFULNESSの一般的な売れ行き具合等をAmazonの商品説明欄から引用しますと

「2020年上半期ビジネス書ランキング1位、3冠達成! 
※オリコン調べ、日販調べ、トーハン調べ 
読者が選ぶビジネス書グランプリ2020 総合グランプリ第1位 
90万部突破 

テレビでも大反響! あさイチ(NHK)、ニュースシブ5時(NHK)、新・情報7daysニュースキャスター(TBS)、NEWS23(TBS)、ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)、Newsモーニングサテライト(テレビ東京) オリエンタルラジオ 中田敦彦さんYouTube大学で大絶賛! 「めちゃくちゃ面白い。これは読んでおかなきゃいけない! 」」

出版社からのコメントを引用

とのこと
発売自体は2019年1月11日とのことで1年半以上経ってはいますが、2020年現在でも売れ行きは上々のようです

この本を買ったのは今年(2020年)の1月ごろで、日本語訳版が発売されてから1年は経っていましたが、そのころでも売れ筋のビジネス書としてネットやyoutubeでまとめネタを見かけることが多かったことから、本屋で紙媒体を購入し、ようやく8月なって読み終えました。

個人的感想

自衛隊での勤務において情報分析の基本に共通するものが多く見られました。

まぁ自衛隊が特別だからと言うわけでなく営業、広報、マーケティングビジネスにおいて重要なことだと感じます。マーケティング云々については本書内でも触れています。

そして今年2020年では台風10号に関わる情報の拡散で、FACTFULNESSに書いてある人が勘違いしやすい「10の本能」のうちいくつかが、当てはまったと感じたので触れていきたいと思います。

特に当てはまる「本能」

  • ネガティブ本能
  • 恐怖本能
  • 過大視本能
  • 犯人探し本能

ネガティブ本能「ネガティブなニュースは耳に入りやすい」

台風10号が発生する前の8月31日にツイッター上でいくつかのアカウントが予想精度の低い欧米の予報を根拠に、戦後最大級の台風にな、など不安を煽る呟きが多くのRTとなりました。

恐怖本能「恐ろしいものには、自然と目がいってしまう」

当然、ネガティブなニュースによって恐怖は煽られました。気象予報士でさえ不安を煽ったから尚更です。気象予報の知識だけでなく、欧米の予報精度の低さを知らなければ不安は増します。欧米と気象庁の台風進路予想精度については下記のブログ記事を参照していただければと思います。

その天気予報は信頼できるの?/各国の台風進路予想の精度について調べて比較してみた結果は…

過大視本能

「ただ一つの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまう」

一部の人は「中心示度924hPaで猛烈な風で家が飛ぶ」など風の強さの表現をする人もいました。しかし最近では関東に大きな災害をもたらした2019年台風19号はそこまで中心示度は低くありません。まぁかえって中心示度が高いから安心とも言えませんが。

スマートニュース

犯人探し本能

「誰かを責めれば物事は解決するという思い込み」

戦後最大級の台風になるかもしれないという呟きから「なぜ気象庁は特別警報を出さないのか」という怒りや不満の呟きが時間を追うにつれて増えてきました。

これらの呟きについて、何かしら災害が起きた時には特別警報を出さない気象庁が悪いと犯人にしたいだけと思いました。

特別警報が出ようが出まいが避難する基準は自分の中で持っておいた方が良いと思います。

特別警報が出てから避難しようとしてもおそらく不可能な状況になる可能性が高いでしょう。また特別警報が出るような暴風なり大雨になっていたら停電が発生し警報が自分には届かない可能性もあります。

ちなみに気象庁は9月4日にTV会見で「鹿児島県においては特別警報級」と呼び掛けてはいます。

実際の台風10号の観測や被害状況については2019年の台風19号との比較を交えたブログ記事にまとめていますので参照してみてください。

和2年(2020年)台風10号の進路予想と観測結果、及び被害状況から見えてくるファクトフルネス

自衛隊の経験でファクトフルネス

私は自衛隊で身につけた広報と気象の経験をもって、不安を煽る内容なのかどうかをファクトフルネス的に考えてみました。

  • 情報の出所
  • 情報の分析
  • 判断

情報の出所

まずは不安を煽る呟きの情報の出所を調べてみました。気象予報士の資格を持ちテレビのお天気キャスターも務めたことがある人の呟きに注目した他、他の人が根拠に上げている欧米の予報を見ました。

情報の分析

8月31日に欧米の台風が日本に接近上陸する予報は9月6日頃となっていましたが、気象庁であれば一週間先の予報は通常の予報精度でも外す確率がかなり大きくなります。

欧米の台風予報の精度については前述した通りです。
また、その他にも様々な要因がありますが、それも上に貼った台風10号のブログ記事に書いています。

判断

私個人としては、気象庁の台風予想が出るまで欧米の進路予想は当てにならない。風の強さもあてにならないと判断しました。もちろんもっと強力な台風になる可能性も含めての判断です。

台風などの緊急の災害に備える考え方としてはミリタリー的にOODAというものがあります。こちらについて書いた記事のブログリンクも貼っておきます。

仕事のやり方がPDCAサイクルからOODAループへ変わって行く/臨機応変に、より早く仕事を回す

FACTFULNESSはおすすめ

話はFACTFULNESSの内容に戻ります。

世界中の多くの科学者や経済評論家を含むを人々が勘違いしていることの指摘として

世界は人口は思っている以上に増加しない

世界の人々は裕福になってきている

世界の人々の寿命が伸びている

アフリカや中東の貧しい国々というのはかなり減っている

という事実をデータを元に、この本で知ることができます。

データをしっかり見ず、ニュースだけしか見ていないと自分の思い込みがいかに間違っていたかに気付かされる本だと思います。

ビジネス書となってはいますが、小学生から定年退職した方まで幅広くおすすめしたい本です。

最前線で対応する自衛官にはとても共感できる内容であることも付け加えておきます。

以上です

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