2019年台風19号の進路予想について日本の気象庁、アメリカのGFS、ヨーロッパのECMWFなど様々な気象機関の予想データを見比べていましたが、台風の訪れる一週間ほど前は近畿上陸コースだったり関東上陸コースだったりと各予想はばらばらでした。そもそも予想の信頼度はどうなのかと言う疑問に当たったので調べてみました。
まず天気予報の正確さの重要なところを先に触れておくと
『どれだけ多くの統計的気象観測データを持っているか』
と言うのが1番ですが、それと同じくらい重要なのが
『予報の演算処理をするスーパーコンピューターの性能』
です。
例えば気象庁はアンサンブル予報という方法用います。気象庁のサイトの知識・解説>数値予報>アンサンブル予報のなかにある解説を引用しますと
数値を少し変えて、それぞれの予報結果を比較することによって予測値の振れが少ない結果を元にし、より予想信頼度の高い結果を予報として発表します。
数値を少し変えただけとは思いますが、変えることによって気圧が変わり風速が変わり、また変化しないといえ、さまざな気象要素が複雑に絡むことで演算処理回数が莫大に増すため信頼できる予想の限界が概ね一週間となります。
では気象庁のスーパーコンピュターの性能がどれくらいかというと…
「結構、すごい」
というのが評価です。
意味わかんねーよ!とツッコミを入れた人、まぁ怒らず聞きんさい
気象機関だけでなくあらゆる世界のスーパーコンピュータの性能比較をしている「TOP500」(英語サイト)
というサイトがあり、このランキングをみると
気象庁が持つ2つのスーパーコンピューターが2019年6月現在32位と33位という結果です。
では気象庁より高性能な他国の気象機関は?というと
イギリス気象庁のスーパーコンピュータとなりますが、このスーパーコンピュータが予報演算に使われているのかどうかは、リストだけだと判断ができかねますが一応27位となっています。
「Windy」という気象に興味のある人が便利だとしてツイッターでも頻繁に画像があがっている予報サイトがありますが、このサイトはGFS(NOAA=アメリカ海洋大気庁のものですが、使っているスーパーコンピュターの名称はNCAR)、ECMWF(欧州中期気象予報センター)の予報結果をもとにしています。
ところがこの2つの予報は、台風については一週間前だと気象庁以上に信頼性に欠ける予想をしています。
そこが気になりGFS、ECMWFをTOP500で確認してみると
GFSのスーパーコンピュターNCARは40位
ECMWF(欧州中期気象予報センター)は49位と50位
となっています。
改めて順位を並べると2019年6月時点では
- 気象庁32、33位
- GFS40位
- ECMWF49・50位
したがって台風のような予測が難しい気象現象については気象庁が一番信頼度が高い評価となりそうです。
ただし、あくまで2019年6月時点での順位なので、今後それぞれのスーパーコンピュータがアップグレードすれば順位は変わってきます。
ところが「統合台風警報センター(JTWC)」という米海軍が主に運用しているハワイにある台風専門の予報担当機関は、総合的に気象庁を上回る精度の予想を発表しています。
自衛隊の気象関連で勤務していた時から各国の台風進路予想を比較してみていましたがJTWCは信頼度が一番高いと現場での感覚です。
JTWCもGFSの結果をもとにしているはずですが、当然GFSよりも高い精度を出しています。
個人的には台風の観測データ蓄積量が他国(日本も含む)より多い米海軍の直接運用であるためではないかと推察しています。
太平洋上の台風の存在は日本だけでなくグアムやサイパンに基地をおく米軍の運用において懸案であり作戦を大きく左右するもので第二次世界大戦時以前からの資料を持っています。
日本において台風は避けられない自然現象なので来ないことを祈るだけしかできませんが、祈るよりもやってくる前提で停電・断水対策など普段からサバイバル技術を身につけておくのが賢明と思います。
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2019年に千葉県ほか関東地方に大きな被害をもたらした台風15号についてのサバイバル知識とブログに書いていますので参考に読んで見てください。
【令和元年(2019年)台風15号(ファクサイ)の被害から改めて考えるサバイバルテクニック】
以上です。