
令和元年でいきなり北海道帯広市のアメダス観測地点で5月の国内観測の最高気温記録が更新されました。
目次
要因はフェーン現象
ニュースや天気予報でもよく聞かれるようになっととは思いますが、私自身のおさらいのためにも書きますと
フェーン現象という名前は、フェーン(ドイツ語: Föhn : 南風)というアルプス山中で吹く局地風が由来であり、この局地風はアルプスを越えて吹く乾いた暖かい風のことである。現在は一般用語として使われており、本来のフェーンのほかに、北米のロッキー山脈を越えて吹く風チヌークなど、世界各地の同様の風もフェーンと呼ばれる。なお、漢字による当て字は岡田武松が考案した風炎である。
引用:wikipedia
フェーンの発生過程
- 風上側に湿った空気があり、それが風の通り道の山によって強制上昇
- この時、空気は湿度が100%未満であれば0.6℃/kmの割合で気温が減少(標準大気における気温減率)
- 湿度100%を超えさらに上昇する場合0.5℃/kmで気温が減少(湿潤断熱減率)
- 湿度100%を超えた状態の大気が上昇し気温が下がり続けると雨を降らせる
- 風下側の平地に空気が降りる際は1.0℃/kmの割合で気温が上昇します(乾燥断熱減率)
ざっくりとしたシステムはこのような流れです。カッコ内は大気の熱力学で用いられる値の表現で、解説は省きます。
帯広でフェーンが発生した要因
それでは実際のデータを見ながら解説します。
地形
先ずは地形から

中央に大雪山、十勝岳、そして南の方に目を向けると日高山脈が見れます。中央右下に帯広市があります。
風向・風速
次に5月26日12時のアメダスが観測した風向・風速値を見ると

山地から帯広市に向かって西寄りの風が吹いています。
風上側の湿度
この時の帯広のアメダス観測データを見ると

表の一番下にある12時のデータをみると、気温が37.9度となりますが、湿度は13%と非常に乾燥した状態になっています。
では地図上で風上側にある旭川市のアメダスデータを確認してみましょう。

旭川から帯広に向かって風が流れているので、実際は12時より前に観測した値の空気が帯広市に流れ込んだと考えられますので10時ぐらいの湿度を見ると54%と帯広市に比べ湿っていることがわかります。
山越えの際の降水
あとは山地に雨が降ったかどうかですが気象庁のひまわりの雲画像を見てみましょう

北海道の中央山地から西側には発達した雲が見られます。このことから風上側にあたる斜面から山頂付近で降水があったと考えられます。
簡単ですが2019年5月26日の帯広市で37℃超となったフェーン現象についてでした。
実は根本的に大陸から5月としては珍しく上空1500mに21℃程度の空気が北海道全域にもたらされてことがフェーンによる37℃以上の気温上昇に寄与しています。
そして、この日は北海道佐呂間が39.5℃(26日14:07時点)と最も高い気温を記録しました。
以上です。