20年以上前、海上自衛隊に入隊してすぐの教育隊で「イソゲ イソゲ ニブンノイチ」と班長が冗談な感じの棒読みでプレッシャーをかけてきました。でもこの「イソゲ ニブンノイチ」(文字だと急げ1/2)海上自衛隊の正式な号令には存在しません。
班長に聞いた言葉の由来は、帝国海軍時代の戦闘艦の速力を上げる時に必要な速力維持時間を本来の1/2に短縮する場合に用いられたとのこと
しかしネットで調べた限りではそのような言葉は見つけられませんでした。
旧海軍艦艇のエンジンは、速力を上げるために、一定時間暖機運転で運用が必要だったのは間違いないようです。
船乗りたちが故郷の母港に戻る際、艦長が気を使って号令していたらしいとも聞きましたが真実かどうかは分かりません。陸が見えたら早く上陸したいのは今も昔も同じです。
最近入隊した隊員は聞いたことがないと言っていました。
入隊当時は、急げという割に1/2って急がせるのか、ゆっくりしろなのか分からん、と同期たちとブーブー言ってました。
でも、これが馴染むと絶妙な言葉だと気づきました。急げと言われているけど、時間を1/2に短縮しろというよりは
「急ぐのは確かだ。でもスピードが半分になっているかのように手順を確実に踏んで事に臨め」
と同期たちの間で暗黙の了解のようになっていきました。
今でも何かと急ぐ時や慌てる場面になった際は、不思議と頭の中にこの言葉が響きます。
「イソゲ イソゲ ニブン ノ イチ」
以上です。