(2019年11月4日に修正しています)
2017年5月29日12時ごろから急に波が大きくなったのが特徴的な日本海西部の波の上がり方だったので経験的知見はありましたが、改めて検証してみました。
まずは5月29日のリアルタイムナウファスのデータを参照します。
文字が小さく見づらいと思いますが朝9時で波高0.31m、周期5.6秒の波が北から来ています。
実際の日本海西部は、サーファーからみるとフラットに近いコンディションです。
ところが12時になると1.01m、周期6.8秒、波は西北西から来て、一気にサイズアップしました。
波の高さが70cmアップしただけでなく周期が6秒後半となり、セット(たまにくる観測値の波の1.5倍以上の大きな波)がショートボードで十分遊べるショルダーの張った波と変わりました。
5月29日気象庁発表の12時の地上天気図です。
この天気図を見て波が上がったと判断できる人は相当な気象専門家かサーフィンに並々ならぬ熱意をもったサーファーかも。
日本海に等圧線がやや広まって袋状になっている場所が見えると思いますが、ここには経験上、上空の冷たい空気があると考えます。
それでは5月29日午前9時の冷たい空気の状況を見ていきます。
上空1500m付近と3200m付近の気温、風向風速などを解析した天気図です。気象庁発表の資料です。
これでは小さくて見辛いので、日本付近を拡大します。
紫の破線で囲った日本海西部に着目すると上空1500mでは大陸方面から10℃程度冷たい空気が流れ込んでいます。
鳥取県米子市あたりは風矢羽をみると北西10m/sの風が吹いていることを示しています。そして米子より北西にある大陸方面でも北西風が吹いています。
続いて3200m付近の状況
米子市の風は北寄り15m/sと見られ、大陸の0℃以下の冷たい空気が同様に日本海流れ込んでいますが、風速が速い分、上空の空気の冷える時間が早くなっていると考えられます(寒気は東シナ海に青く透けたところにも解析されています)
「でもなんで朝9時の波は小さいの?」
と考えられますが。上空の寒気の影響が地表付近に現れるのは時間差が生じるためです。
ただし、ニュースの天気予報で表現される上空の冷たい空気の流入はもっと顕著に、24時間程度維持されるのが経験上の知識です。
この日はたまたま朝9時の波は小さかったものの、12時から16時ぐらいは大きくなり、その後はまた急激に小さくなるという変化だったので気象庁のコンピューターによる波予測でも難しいと感じます。
個人的には前日の天気予報で上空に寒気(冷たい空気)が入るという解説があればサイズアップする可能性が出てくると判断します。
あくまで日本海西部だけに限った話です。太平洋になるとまったく当てはまらないこともありますのでご注意ください。
また太平洋の波の周期で大きいと判断できるのは10秒以上からです。
また上空の冷たい空気の流れ込みは雷や突風などの危険な気象現象を伴う可能性が高いのでサーフィンに適さないコンディションになりやすいこともあります。
くれぐれも安全で楽しくシェアするサーフィンをしましょう。
以上です。