目次
大幅に緩和されているパイロットの視力基準
自衛隊の広報官として海自・空自航空学生の説明をするとほとんどの保護者の方から「目が良くないとなれませんよね?」と言われていました。
確かに20年以上前は裸眼視力が1.0程度ないと一般のパイロットにもなれなかったと記憶しています。
しかし実は2022年現在の航空学生の視力基準は0.1となっています。
これは航空機に搭載されている機械の発達の恩恵が大きいようです。ですのでメガネをかけたパイロットが意外と多く見かけられます。
航空学生の身体検査に関わる正確な検査は単純な視力だけでなく、さまざまな検査があるのですがこれらも含めて解説しながら視力回復トレーニングについても触れていこうと思います。
通常視力
アルファベットの「C」に似たマークが大小様々、上下左右に向いた物を片目ずつ検査します。
近年の学校では実施されないということで、意外と視力を数値で把握できていない家庭のケースがあります。
深視力
奥行きに関する視力感覚の能力です。
一般でも大型トラックなどを運転する場合に検査される項目ですが、航空機としては小さいと思われる戦闘機でも全長が15mを超えるため、奥行きに関する感覚が不可欠になります。
視野
パイロットにはある程度の視野を求められます。従って海・空航空学生入隊試験時の身体検査でも項目としてあります。
色覚
色の識別に関する感覚です。いわゆる色弱、色盲など色覚異常がある方は男性は20人に一人、女性は200人に一人と言われています。
色覚異常にも程度があり日常生活に全く問題ない方もいるので検査をするまで一緒に住んでいる家族でも気づかないケースが見られます。
眼の異常、手術の形跡
まれに眼球自体が普通には見られない状態だったり、レーザー治療や視力回復施術によって視力回復をおこなっていると自衛隊パイロットには不適格とされます。
ちなみに民間航空機パイロットはこの限りではありません。
2021年度時点での身体検査基準は以下の画像参考になさってください。
視力は良くならないの?
これも良く相談されました。
私は眼科のお医者さんではないので断言できませんが、過去の入隊者で視力回復として行っていたものを紹介します。
視力回復3Dトレーニング
参考にAmazonの商品リンクを貼っておきます。
コンビニなどでもたまに見かける本です。一定の効果があると入隊受験者から聞きました。
親指を立てて行うトレーニング
親指の爪に視力検査でみる「C」と描いた紙やシールを貼り眼に近づけてしばらく見て、その後ゆっくりとそのマークを見つめたまま腕を伸ばす動作を繰り返す方法です。
前述した通り目の近いところで見る時に一番目の筋肉に負荷がかかっている状態を作り、その後ゆっくりマークを離す時に筋肉の負荷を抜くという動作の繰り返しです。
これらの方法は自衛隊に入るまでの間にこれらを行ってギリギリの視力を維持していた予定者が何人もいたので、その後の受験者にも勧めるようになりました。
私自身も視力は良くないですが、あまりに視力が落ちすぎと感じた時はこれらのトレーニングを定期的に行なっているのでここ15年ほどは視力に変化がありません。
そもそも視力が落ちるのは原因はピント調節をする筋肉が硬くなること
よく見られる視力回復は眼の筋肉のストレッチではなく筋トレという認識を持たれた方が良いでしょう。
普通の体の筋肉でも筋トレをすると柔らかくなり関節の可動範囲が広がります。
ピントを調節する筋肉も同様です。鍛えることによって、目の前の文章や物を見てその筋肉に負荷をかけても戻りやすくなります。
注意:誰しも回復するわけではありません
世の中には「弱視」と呼ばれるどんなに度の強いメガネを作っても改善しない方が一定数います。
メガネやコンタクトを身につけても矯正されないので、残念ながら回復トレーニングも効果がないようです。
近視はストレスを和らげるためになってしまう体の自己防衛機能
以前何かのドキュメンタリー番組で見たないようですが。
どこかの実験で近視の人と目がかなり良い人にPCによる文章入力のテストを行った結果、目が良い人はかなりストレスが溜まったとの報告があったそうです。
近視についてしっかり対策したい方は視力について回復回復トレーニングも含めて眼科の医師に相談しましょう。
自衛隊航空学生・パイロット以外での自衛隊入隊を考えている方は下のリンクを参考にしてみてください。
自衛官採用の話・今17歳〜32歳で就職か進学か悩んでいる方へ/自衛官になるには
以上です。