広報官時代の自衛隊入隊者確保の話

2018年を迎えて少したち、日経平均株価が26年ぶりの高値をつけ景気回復が追い風となり企業が積極的に求人するもなかなか人が集まらない状況です。

人が集まらない、内定を辞退する人がたくさんいるとか話を聞くと広報官時代を思い出します。募集採用枠の人数に対して入隊希望者が集まらないことが多かった2013年あたりです。

広報官は陸海空自衛官さまざまで、ただ基本的に所属部隊ではそこそこ優秀な成績をもった人物が選抜されているように感じました。私は違いますが。

入隊希望者がどのように広報官とつながるかというと

  • 学校に来ている求人紹介を通して
  • インターネットを通して
  • 家族に現役隊員がいる
  • 同級生や近いところに現役隊員がいる
  • たまに直接各地域に構えている広報官が常駐している事務所等に来訪する

というところから話がきます。

現役隊員で広報官でないものは私もそうだったんですが自分の職務や部隊以外は自衛隊の仕事を意外と知りません。

そこで広報官が大まかな自衛隊の組織的なものから陸海空には500以上にもなる様々な職種・職務があること、入隊試験の概要を説明していきます。

体力が必要ですよねという質問がかなりあるんですが、意外と必要ないことも説明をよくします。体力についてこれぐらいあれば良いかなと書いたブログ記事を貼っておきます。

自衛隊とはいえ、体力も込みで企業の人事採用でも大差ないのかなと思います。

違うのはここから

入隊希望者に後日イベントの案内をします。護衛艦が近く入港するよ、駐屯地のイベントあるよ、航空祭があるよなど。

ただ案内するだけではありません。極力エスコートします。もちろん事前に部隊側と調整するべきことがあればやっておきます。

例えば入隊希望者が部隊の隊員と直接話しをしたいといえば話ができる時間や場所の確保とか。私は平日夜だろうが土日関係なく連絡を取れるよとアピールしていました。

こう言ったことを積み重ねると入隊希望者の信頼を得るようになります。実際に入隊試験に合格しても辞退する人はいます。

ただ辞退する理由は様々だけどやはり顔を合わす頻度が少なかったなと経験上感じます。

良い人材の採用は信頼が大きな役割を果たすと感じます。私自身は良い人材の確保を最優先しました。そうすれば組織の質が上がるし広報官の組織内の信頼も高まります。おまけで表彰されたりもしますがそこらへんはあまり興味がありませんでした。

広報官は自衛隊の顔です。広報官が信頼性の欠く人物であれば自衛隊全体のイメージが落ちます。自衛隊の組織や階級を知らない人から見れば制服組トップの統合幕僚長も広報官も若い隊員も皆同じ『自衛隊の人』です。

特に多くの入隊者を担当した広報官に共通して言えたのは入隊受験希望者に対して非常に面倒見が良く信頼を得ている点です。

一般企業では人事に社員を多く配置できないし、採用は人ごとみたいに捉えられるようですが、少なくとも人事だけに任せるだけでは難しいんじゃないかな。人事だけど自社の最新の製品を事細かく説明できる人物を据えるのが理想かもと思います。

高校3年生の子に入隊試験合格場合は、入隊の意思確認と親権者の同意を得なければ入隊できないことの説明をするために直接受験者の家に伺い説明することもありました。

中には合格したことに感激して涙を流すお家の方もいらっしゃいました。本人の努力の結果なんですが広報官として信頼を得ているなーと少し嬉しくも思いました。

以上です。