【書評】「ZERO to ONE」を読んで、「経験の共有」というワードがささる。

2014年9月25日に日本での初版本が発売されたピーター・ティールというPayPalの創業者の一人で、シリコンバレーの企業家でありFacebookほか数々のベンチャーに出資している投資家でもあります。

この本が出版された2014年11月に第4版を買って読んでいましたが、ついこの前(2019年現在)に有名youtuberが紹介していたのでまた読み返してました。

書評や解説はネットで検索すれば数多の情報が出てきますが、個人的にこれから日本のビジネス界隈に出てきそうな「経験の共有」について触れていきたいと思います。

この本の中で著者ピーター・ティールがスタートアップで新規ベンチャーに出資する際に気にかけているのが「ベンチャー創業チームがお互いのことをどれだけよく知っているか」で「起業前に経験を共有している方が良い」と言っていて、結婚に例えているのが興味深く感じました。

経験の共有が長期の人間関係において大事で、男女関係では結婚前に同棲しておけばお互いの生活習慣を知ることができます。

また学生時代の部活やサークルをやっていたりする人は合宿等でお互いのことをより深く知ります。

ひいてはより良い結果につなげる思考や判断により短い時間で到達できます。結婚に至らないとか、離婚してしまうという結果になる場合もありますがそれはそれで良い結果の面を持っています。

経験の共有で、個人的に思うのは自衛隊に入ってすぐの教育訓練生活です。

任期制隊員の教育隊生活は、陸自は3ヶ月、海自は4ヶ月あまり、空自は3ヶ月あまりと期間は教育訓練内容に違いがありますが共通して言えるのは、寝食教育訓練を共にするので一生忘れられない濃い時間となります。

当然、お互いの能力、得手不得手も深掘りして知っているので、何かしらやろうとした時にお互いを助け合って良い結果につなげられます。

ここから視点をビジネスに変えます。

本の話に戻りますが、ピーター・ティールは優れたセールスマンがいないと、いくら優秀なエンジニアが優れた商品・プロダクトを開発してもヒットしないことに触れています。これだけITがビジネスだけでなく社会としても重要でエンジニアが大事なのは当然なのに、です。

大量の広告を打てばセールスマンなんか要らないと考えてしまいます。

しかし、広告は数千円程度の商品までは効果ありますが、数万円程度になると買うのに慎重になるので、より多くの情報を、特に使用した感想や効果、レビューが気になります。

いくらAIが発達したといっても現段階では数値化されていない経験までは示せないでしょう。

私の考えになりますが購入を検討している商品については、売る側の用意した使用者の感想でなく、実際の購入者の感想を重要視します。引いて考えると経験の共有に近いものがあります。

良いセールスにはこの購入者の感想が重要とも言えます。

自社の製品の利点だけ強調するのではなく他社に比べ劣っている点も説明し、お客さんの立場になって商品をすするめることが高価な商品の長期的な売れ行きに繋がるのではないかと考えます。

良いお客さんなら感想を返してくれ、それが次のアップグレード、商品開発へのヒントになります。良いセールスマンなら自社の製品を使ってそこらへんを把握しているはずです。

エンジニアの人に商品開発しながら営業をやれと言っても時間が足らなくなるでしょう。だからこそ営業の専門家・セールスマンが必要と言えます。

これからは情報共有の上位互換が経験共有と表現され顕在化するかもと個人的には思い込んでいます。

以上です。